大統領選を前に瓦解するアルゼンチン・マクリ政権Photo:123RF

 アルゼンチンは、過去100年のうちに6回も債務不履行(デフォルト)に陥るなど「常連国」である。直近2001年から02年にかけて発生したデフォルトについては、主要債権者との係争状態が長期化したことに加え、その後に誕生したキルチネル、(クリスティーナ・)フェルナンデス両政権による政策運営の問題も重なり、長らく国際金融市場から疎外される状況が続いてきた。

 その後、15年の大統領選を経て誕生した中道右派のマクリ政権の下で様々な構造改革が実施され、主要債権者との返済交渉合意など国際金融市場での失地回復の取り組みが進められてきた。さらに、世界金融危機後の先進国を中心とする量的金融緩和政策に伴い、国際金融市場では「カネ余り」とも呼べる状況が続いた結果、一昨年には30億ドル弱と小規模ながら償還期間100年という超長期債(100年債)の発行に成功するなど国際金融市場への復帰が叶った。

 ところが、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融政策の正常化に向けた動きは、世界的な「カネ余り」に浴してきたアルゼンチンを取り巻く環境を一変させた。その結果、昨年春以降、通貨ペソ相場が急落する事態に見舞われた。中央銀行はペソ安圧力を抑えるべく立て続けに大幅な利上げを実施し、為替介入を通じて通貨安定を図る姿勢を示したものの、外貨準備高が急速に減少したため、最終的に昨年5月にIMF(国際通貨基金)に対して支援要請を行う状況に追い込まれた。