電話を受けた柳川は、不機嫌そうに言った。

「お前なぁ、頭痛くらいで休むなよ。はってでも来いよ!」
「どうしても起き上がることができそうにないんです」
「まったく、仕事舐めてんじゃねぇか?体調管理くらいしっかりやれよ」
「体調不良での休むのは入社以来初めてですよ!」と瀬谷は言い返したかったが、そんな元気もない。
「すみませんが、今日は休みます。何かあれば携帯は出られるようにしておきますから」

 こう言って電話を切った。

「自分のことは棚に上げて、部下が体調不良でも休ませようとしないなんて…」

 瀬谷はひどい頭痛の中で、部長や会社に対する不信感が次第に増していった。実際、柳川は気に入らない部下に対しては、パワハラに近い厳しい言葉を投げつける一方で、自分は二日酔いで遅刻するのは日常茶飯事だった。

「この会社でやっていくのはもう限界だな…」と横になって、転職を考え始めていた。

体調が良くない部下が遅刻、
課長が心配すると逆ギレされる

 翌日、体調はまだ完全ではなかったが、瀬谷は何とか出勤した。そして1時間ほどすると、瀬谷の部下である林が遅刻してきた。出勤してきた林の顔色が悪いので、心配した瀬谷が林に声をかけた。

「おい、どうした?具合悪いのか?」
「いや、ちょっと二日酔いで…」

 林は微かに酒の臭いをさせながら、悪びれもせずに答えた。瀬谷が呆れて言う。

「二日酔いで遅刻って…。それはまずいだろ」

 すると林が逆ギレして言い返してきた。

「だって柳川部長が遅くまでしつこく飲ませるから。部長だっていつも飲み会の翌日は遅刻しているじゃないですか!」

 柳川部長の二日酔いによる遅刻・欠勤は以前から頻繁にあり、瀬谷は苦々しく思っていた。今までも何度か社長に「注意してもらえませんか?」と言ったことがある。その都度、社長は柳川部長に注意してくれていたが、相変わらず飲んでは欠勤・遅刻を繰り返していた。「部下にまで影響が出ているとなると問題だな…」と感じた瀬谷は意を決して柳川部長と直接話すことにした。