ここ最近、タワーマンションの開発が相次いでおり、2019年以降も、すでに300棟の竣工が見込まれているが、大規模修繕工事において管理組合と施工会社のトラブルが増えるとの指摘がある。その理由を探った。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
施工の不備?自然劣化?
平行線をたどる主張
「タワーマンションの大規模修繕工事で塗装工事をしましたが、それによって管理組合と施工会社の間で問題が発生しています」
マンションの顧問建築士として瑕疵問題や大規模修繕工事に詳しい、一級建築士の都甲栄充氏はそう話す。
冒頭の現場となっているのが、千葉県のとあるタワーマンション。現在、大規模修繕工事の仕上がりをめぐり、管理組合が原告となり施工会社と裁判中だ。都甲氏は、管理組合の依頼を受けて証拠を調査した立場である。
このマンションは2011年の東日本大震災によって一部で破損が生じた。加えて築年数が経ち大規模修繕工事が必要な時期を迎えていたことから、管理組合が修繕を決めて着工した。工事内容は主に外壁塗装と配管などの鉄部塗装だ。
しかし工事後、管理組合の理事でもあった住民が違和感を覚えて詳しく点検した。すると、塗装したばかりの箇所の一部で鉄さびや塗装のめくれなどが見つかったという。その後、施工会社と交渉したが納得した結果が得られず、再補修に必要な費用を損害賠償請求するに至った。
施工会社は「原告の要望にはできる限り応じてきた。今回指摘された点は、雨水や太陽光の紫外線などが原因の自然劣化によるもの。施工自体に不備はない」と反論し、互いの主張は平行線だ。