経営者が社員以上に汗をかくと、
社員は辞めずについてくる

山本:これは『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』にも書いていないのですが、まだ当社が油まみれの工場だった時代に、社員が結託して労働基準局に訴えようとしたことがあったのです。

近藤:待遇に不満があったわけですね。

山本:はい。働いて働いて、こんなに働かされているのにあまりにも給料が安くて、賞与もない。「こんなのはおかしいから、絶対に訴えてやる!」って。

近藤:実際に訴えられたのですか?

山本:いえ、結局は思いとどまってくれたのです。
理由は、僕も社員と同じように油まみれになって、汗をかいて、夜中まで一緒になって仕事をしていたからです。
それと、社員に目撃されてしまったんですよ、僕ら家族が会社で食事をしているところを。お金がなくて、食事があまりにも粗末だったから、社員が僕らを気の毒に思ったみたいです。
「見なかったことにしよう」
「訴えるのはかわいそうだ」
って(笑)。

近藤:社員にばかり働かせて、経営者はラクをする。こういう搾取構造がまかり通っている会社は、絶対に破綻します。
日本レーザーの場合ですと、取締役・常務クラスの報酬は同業他社よりも高いと思います。
けれど、社長の報酬は、他社平均よりも低い(笑)。
社員のほうが高級なクルマに乗っていますから(笑)。

山本:僕も、中古車です(笑)。