年金支給額自体は
「増える」か「微減」いう試算に

 発表された財政検証は、経済成長と労働参加が進むかどうかで6通りにケース分けをして年金の将来の支給額を試算したものである。6つのケースのうち、標準的と思われるケースIII(上から3番目、経済成長と労働参加が進むケース)によれば、2047年度の年金額は月24万円であり、現在の22万円より約1割増える計算となっている。

 ちなみに、本稿における年金額とは、標準的なサラリーマンと専業主婦という夫婦からなる2人世帯が合計で受け取れる月額とする。

 現在、「2割減る」と報道されているのは、「所得代替率」が現在の61.7%から2047年度の50.8%に低下することを指しているのだと思われるが、これは「現役の所得と比べた年金額の割合」を示した数値であるので、「年金が2割減る」という報道はミスリーディングである。

 試算では、現役世代の所得が大きく伸び、高齢者の年金額が小さく伸びるので、現役と比べて高齢者の「割負け感」が増す状態になっているわけだ。しかし、これを「年金が減る」と表現するのは不正確としか言いようがない。

 強いて言うならば、厚労省の所得の見通しが甘い点は問題だろう。そこで、ケースV(上から5番目、経済成長と労働参加が一定程度進むケース)を見てみると、2043年の年金額が20.7万円となり、現在の22万円より減ってしまう。とは言え、それでも2割も減るわけではない。

 なお、自営業者夫婦に関しては、現在夫婦2人で最大月額13万円の年金が、ケースVでは2043年度には同11.4万円に減ってしまうが、それでも2割減ではない。