森トラストとしのぎを削る
激戦区で存在感を高める

 「虎ノ門は当社の戦略的エリアだ」。森ビルの辻社長は記者会見の中でこう強調した。この言葉から、同社の野望が透けて見える。

「虎ノ門・麻布台プロジェクト」のパース。日本一高いビルができる Photo by Kosuke Oneda

 今はオフィスビルの大開発時代だ。18年から2020年にかけて大量供給されるため、都心には大型クレーンが林立している。18年から20年の年間平均供給量は、98年から17年の105万平方メートル/年を上回る140万平方メートルが見込まれている。

 そんな中でも虎ノ門エリアは多くのプレイヤーが参入し、あちこちで再開発が進む激戦区だ。特に森ビルと森トラストの主戦場となっており、両社はライバルとしてしのぎを削る。両社の創業者は森泰吉郎氏で、もともとは一つの企業だった。その後、同氏が亡くなり子どもたちが経営を引き継いだが、次男の森稔氏と三男の森章氏の間で経営路線の相違が生じ、1999年に森ビルグループから分離独立する形で森トラストが設立された。

 森トラストはすでに虎ノ門で「東京ワールドゲート」プロジェクトを推し進めており、オフィス貸室総面積約10万7600平方メートルの複合施設「神谷町トラストタワー」が20年3月に竣工予定だ。今後、虎ノ門再開発のシンボルの1つとなるだろう。

 そんな中でようやく進みだした森ビルの「虎ノ門・麻布台プロジェクト」。これまで森ビルが手掛けた六本木ヒルズと虎ノ門ヒルズという点と点を線で結び、面でエリアを押さえ、さらに日本一高いビルも建てる。まさに「虎ノ門エリアの再開発は森ビルこそが主役だ」と言わんばかり。創業一族が同じである両社の虎ノ門再開発競争はこれからが本番だ。