日本の超富裕層の大多数を占めるのは、会社を起業したオーナー経営者やその一族だ。上場を果たせば多額の株式売却益を獲得し、億万長者の仲間入りである。だが近年、株価が低迷するオーナー企業への市場圧力が強まっている。実際に「公私混同」や「高給」を株主に糾弾されるケースもあり、オーナーといえども安泰ではない。特集『富裕層 億万長者の実像』の#9で、その実例を見ていこう。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
朝日新聞が大株主のオーナー企業
「学情」に株主提案、その理由は?
「取締役中井清和を解任する」
今年1月の株主総会で、株主からそんな議案を突き付けられたのは、東京証券取引所プライム上場の学情だ。転職情報サイト「Re就活」などを運営し、大株主には資本業務提携を結ぶ朝日新聞社が名を連ねる。
中井清和氏は、その学情の創業者で代表取締役会長だ。若手人材採用ニーズの高まりを受けて2023年10月期は1976年の創業以来最高益を達成。22年には長男の大志氏に社長職を“禅譲”しており、業績も継承も盤石かに見える。
そんなオーナー企業の一体何が問題か。次ページではその理由と併せて、今後やり玉に挙げられそうな他のオーナー企業を実名入りで取り上げる。「給料高過ぎ」「公私混同」といったキーワードから浮かぶのは、オーナー企業に共通する問題だ。