ソウルの下町・龍山(ヨンサン)にある米軍タウンは米国人のオアシスだったが、その終わりが近づいている。さび付いたゴールポストが、閉鎖されたハイスクールを見下ろしている。見た目がよく似た平屋の米軍住宅の前庭では、芝生が茶色く変色している。ようやく2人並んで歩ける程度の細い歩道は、ひび割れが目立ち始めた。77歳の退役軍人のジョン・ノウェル氏は「私の故郷が目の前で死んでいく」と語った。ノウェル氏が龍山に引っ越してきた1965年当時は、ソウルの街路を牛車がのんびり進んでいたという。今年末までに、2万人以上の米国軍人・家族のほぼ全員が龍山の駐屯地内の宿舎から出ていく。彼らは110億ドル(約1兆1650億円)を投じて新たに建設されたハンフリーズ基地に移動する。ソウル南方約40マイル(約64キロ)に位置する同基地は、米国の海外軍事基地として最大規模だ。
韓国の米軍タウン、ソウル中心部で消滅へ
龍山の米基地返還で朝鮮戦争以来の歴史に幕
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