そうした家賃滞納が半年以上続き、友人は弁護士と一緒にその家を訪ねて交渉したそうです。そこでわかったのは、貸借人が失職して収入がなくなり、家賃がまったく支払えない状況になったということ。そして「引きこもり」になってしまい、もう働く意思もないということでした。さらにそのマンションの部屋は、ゴミ屋敷になっていたそうです。

 結局、弁護士のアドバイスで、その居住者にまとまった手切れ金と引越し資金を払って出て行ってもらい、特殊清掃人にゴミの山を処理してもらって、ようやく現状回復したそうです。その出費と、支払いが滞った家賃を放棄した分とを合わせると、2年分もの家賃収入に相当する被害になったそうです。いや、被害というより、投資なのでこういったことも起きるわけです。

居住者の死後に
登記変更できない事態も

 さて、高齢社会化に伴い、全国でこのような「ワケアリ不動産」が増加していることが社会問題になっています。今回は、この問題を取り上げてみたいと思います。

 ワケアリ不動産の典型例としては、先ほど紹介したようなケースの他に、隣人とのトラブルや、賃貸人が孤独死して事故物件になるケースなどがあります。さらに居住者が所有者だった場合には、死後空き家になった物件を誰も管理できず、危険な廃屋として放置されるケースもあります。

 このことは、2つの問題に分けて捉えることができます。1つは、法律を変えて行政が何とかしなければならない社会としての問題。そしてもう1つは、あくまで民事の争いとして当事者が処理をしなければならない個人としての問題です。

 具体例を挙げると、前者については、所有権がわからなくなったり、逆に所有権が多くの人に分散してしまったりした結果、誰も対応できないまま廃屋化が進んでしまうようなケースがあります。私の故郷にも、自分の曽祖父の名義のままになっている不動産物件がありますが、民法の観点で考えると、それが死後相続されたとすれば、法定相続人が大変な数になってしまうため、結果として登記を変更できず、そのままにしてあります。