さて3つ目に、自分が大家の立場だったらどうすればいいのかについて考えてみたいと思います。老後の資産形成の目的で投資用マンションを購入し、その家賃に頼って暮らそうと思っていたら、賃貸人が家賃を払えなくなってしまった――。

 実は私も、不安定な仕事に就いてきたことから、マンション投資歴が長く、始めてから20年になります。同じ人がずっと住んでいる物件では、投資を始めたときに40代だった賃貸人がすでに60代後半になっているため、こうした問題は他人事ではありません。

「ワケあり不動産」急増も
リスクばかりではない理由

 そこでマンション投資を幅広くやっている不動産会社の関係者に取材をしてみたところ、2つのことがわかりました。1つは、「ワケあり物件」が出てくるケースはあるにはあるけれども、確率的にはそれほど高くはないということ。数百件の物件を運用している会社では全体の0.4%程度と、その絶対数は多くないようです。

 とはいえ、今後増えてきて、全体の1%くらいになる可能性はあるかもしれない、ということです。問題は、自分の持っている物件がその1%に当たった場合です。

 その場合、その会社では即座に弁護士と協力して賃貸人の生活保護申請をサポートするそうです。これがやはり正解らしく、かつ本当に家賃を払えないケースでは、きちんとプロが申請すれば自治体もまず申請を受理せざるを得ないということでした。ただし、続きがあります。

 最後に不動産投資家のためのとっておきの秘密を教えてもらったのですが、なんと生活保護を受けている高齢者が入居している投資用マンションは、市場価値が下がらないばかりか、むしろ上がることがあるそうです。収益不動産を売買する投資家の視点からみれば、「ワケあり不動産」が確実に家賃収入を見込める物件に変わるということで、むしろ同じエリアの同じタイプの物件より、売却価格は強気でつけられるという話でした。

 いやいや、市場経済とはシビアかつ面白いものだと思いませんか。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)