ポピュリズム政党の勢力拡大が
世界中で止まらない
世界を席巻するポピュリズムは、「既存政治」を飲み込む勢いである。ドナルド・トランプ米大統領の「米国第一主義(アメリカファースト)」は、米国内で移民や宗教などに対する過激な言動をますますエスカレートさせている。外交においても米中貿易戦争、イラン経済制裁とホルムズ海峡を防衛する「有志連合」の呼びかけ、「日米安保破棄発言」と在日米軍駐留費5倍増の要求と、ますますやりたい放題だ(本連載第211回)。
英国では、ボリス・ジョンソン首相が誕生した(第217回)。ボリスは、欧州連合(EU)離脱に関して「何が何でも10月末にEUを離脱する」という強硬な姿勢を示した。「合意なき離脱」が現実味を帯びてきている。
他の欧州諸国でも、2017年には、フランス大統領選で、極右政党・国民連合(旧国民戦線)のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に勝ち残った(第162回)。ドイツでも、アンゲラ・メルケル政権の移民政策に批判が集中し、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が台頭している。
オーストリア、スイス、イタリア、オランダ、ベルギー、スウェーデンなどでポピュリズム政党の勢力拡大が止まらない。欧州以外でも、南米・ブラジルでは、女性や黒人、性的少数者への相次ぐ差別発言で「ミニ・トランプ」と呼ばれるジャイル・ボルソナロ氏が大統領選に勝利した。