アイコス流行のキッカケを
作ったテレビ番組

 日本でアイコスが流行したキッカケのひとつは、「アメトーーク!」(テレビ朝日系)で2016年4月に放送された「最新!芸人タバコ事情」という回だった。

「この放送回では、人気芸人たちがアイコスを使うようになった理由やエピソードなどを面白おかしく話しました。私が調査したところ、その日を境に、インターネットで『アイコス』の検索数が劇的に増え、番組を見た人は見ていない人と比べて3倍以上もアイコスを使うようになったんです。実はこの番組が放送される10日前に、アイコスは12都道府県限定発売から全国47都道府県での販売へと拡大されたばかりの絶好のタイミングでした」

 こうしたタイミングの良さもあり、田淵医師は番組に「タバコ会社(フィリップモリス社)から何らかの資金提供があったのか」と問い合わせたところ、「資金提供はない」という回答だったという。

 世界の多くの国ではタバコの宣伝・広告が禁止されているが、日本では法律で禁止されておらず、業界が自主規制している。しかし、タバコ会社は新型タバコのプロモーションを積極的に展開しているようだ。

「たとえばアイコスは、パンフレットに大きく“有害性成分の量が90%低減”などと書いています。しかし、その隅に“ただしこれは病気になるリスクが90%減るわけではありません(意訳)”と誰も読まないような小さい字で注意書きがされていますが、正直そんな文言はほとんどの人が読みません。他のタバコ会社も、同じ戦略で加熱式タバコのメリットを訴えており、これによって多くの人が、加熱式タバコは健康への害が少ない、と誤解して、人気が出たという側面もあると考えられます」

 また、田淵医師は、アイコスブームの背景には、日本人ならではの気質も関係しているという。

「アイコスが出たころは、ローマ字表記が『iQOS』と『i』が小文字になっており、『iPhone』をまねしたのかと話題になりました。日本人の多くは新しいガジェットに関心が高く、このこともアイコスがはやった理由の一つと考えられます。それと、事実とは異なるのですが、タバコ会社が加熱式タバコは受動喫煙のリスクがないと宣伝したため、他人への害に配慮しなければならない、という空気感(社会意識)が生まれていた日本で受け入れられやすかったのだと思います」

 日本人の「和を以て貴しとなす」、言いかえれば「空気を読む」という国民性も、アイコスブームの要因の一つになっているのかもしれない。