これまで楽天が総務省に提出した膨大な文書には「2019年10月のサービス開始」が明記されている。その予定を延期する場合は、その全ての資料を修正する手続きが求められる。

 ただし、総務省によれば「無料サービスであっても事業開始に当たる」。故に楽天は「サービス開始」を強弁したのが実態のようだ。

 09年2月にサービスを開始した高速無線データ通信「WiMAX(ワイマックス)」が利用者限定の無料サービスから開始した例があり、楽天はこれに倣った格好だ。

 だが、ワイマックスの場合は2月末の無料サービス開始前に、有料化の開始時期(同年7月)と料金体系は発表済みだった。これに対して楽天はいまだ料金を発表せず、本格参入の時期についても「1カ月後かもしれないし、年内いっぱいかもしれない」(三木谷社長)と述べるだけで明らかにしていない。常識的に考えても、これで10月から事業を開始するとはいえない。

 基地局整備を巡って楽天は総務省から遅れを指摘されて、8月26日付で行政指導を受けている。20年3月末までに楽天は3432局を設置する計画だ。総務省の「電波利用ホームページ」によると、楽天の基地局は足元で600局弱にとどまっており、あと半年で、5倍以上の基地局を増やさなければならない計算となる。

 三木谷社長は「基地局の建設ペースは当初遅れていたが、順調に回復している」と強気の姿勢を崩さない。また、武田和徳副社長も「3月までの(基地局開設の)目標に十分間に合う」と強弁したが、さすがに信ぴょう性が疑われる。

楽天の最大課題
基地局整備に三つのハードル

 楽天の最大の課題は基地局の建設であることは間違いない。10月1日時点で、東京23区、名古屋市、大阪市の自社の基地局を整備する計画(それ以外のエリアはKDDIの通信設備を借りるローミングサービス)で、この整備が進まなければ、「圏外」だらけになる。

 さらに、6日の記者会見では、重要なことが明かされた。KDDIのローミングエリアから、楽天の自前基地局のカバーエリアに移動した場合、ユーザーの通話はいったん途切れてしまうというのだ。

 KDDIのローミングから脱却するためにも、楽天は自前の基地局エリアを拡大していく必要がある。携帯事業に新規参入する楽天は、文字通り「ゼロ」から、基地局の設置場所を借りる交渉を始めなければならない。これは実に厳しい。