全豪オープンの決勝で凡ミスを重ねていたときも、なおみは持ち場を離れた。ラケットをその場に置き、トイレブレークをとったのだ。そして観客の注目から離れて心ゆくまで孤独を楽しみ、気分を新たにして戦いの場にもどったのである。

◆感情の力を使う
◇「日記」で感情をコントロールする

 著者は20年以上にわたって、日記を書く習慣を継続している。自分の気持ちを正直に書き記せば、成長に必ず役立つからだ。著者によれば、日記を書くことは「自己精神療法を行うようなものだ」という。

 その日に経験したことや感じたことを正直に書き、大事なことは詳細に記すことで、頭の中に長く留めることができる。同じことを他人に話すのと日記に書くのとでは雲泥の差だ。日記を書くときは、相手の感情を考慮する必要がないからだ。

 著者はテニスに関しても、記録をつけている。試合中に気づいたことをすべてメモにとり、試合後に読み返して、気づいたことをなおみに伝えているという。これを読み返すことで、成長の推移を冷静に分析できるし、のちのち多角的な判断を下すのにも役立つ。さらに、自信が深まるというメリットもある。

◇「ごめんなさい」をNGワードにする

 なおみの口癖は「ごめん」だった。ボールがネットに当たったり、コートをそれたりすると、決まって「ごめん」と言う。

 もちろん、絶対に「ごめん」を言わない人がいたら、それは問題だ。ただ、「ごめんなさい」が口癖になると、悪いのは自分だ、自分がいけないのだ、という思考になってしまう。すると自信も抱けないし、積極的にもなれない。著者はそれが心配だった。だからなおみに指摘し、その落とし穴に気づいてもらったという。