英国誌『SportsPro』は毎年、この時期に「最も市場価値があるアスリート50人」を発表する。このランキングで今年の1位になったのがプロテニスプレイヤーの大坂なおみ(21)だ。
同ランキングはプロアスリートの才能はもとより将来性、話題性、キャラクター、スター性などを独自に判定し、それを市場価値として見たもの。つまり出場する大会や契約スポンサー、メディアといった関連事業に多大な収益をもたらす存在であることを示すランキングだ。大坂は昨年27位だったが、一気にトップまで上り詰めた。
全米・全豪を連覇後は不調に
それでも大坂なおみが市場価値トップ
実際、昨年後半から今年はじめにかけての大坂の活躍は目を見張るものがあった。8月の全米オープンでは強敵を寄せつけることなく勝ち上がり、決勝でもかつての女王セリーナ・ウィリアムズを圧倒。20歳で4大大会を初制覇してしまった。10月のWTAファイナルズは1勝もできずに終わったが、年明けの全豪オープンで何度も追い詰められながら勝ち抜き、4大大会連覇を果たした。WTAランキングも1位になり、その快挙に日本では“なおみフィーバー”が起こったものだ。
ところが、その後、不調に陥る。グレードの低い大会でも勝てなくなり、棄権も2回あった。そして迎えた5月の全仏オープンは3回戦で敗退、7月のウィンブルドン選手権にいたっては1回戦で当たった世界ランク39位の選手にストレート負けしてしまった。世界ランクは上位を争うライバルたちもポイントを稼げずにいるため、1位を維持しているが、全米・全豪を制した時の輝くような姿は見る影もない。
それでも『SportsPro』誌は大坂の市場価値を1位にランクした。それは大坂の才能を高く評価しているからだろう。とくに全米、全豪を連覇したことは大きかったと思われる。4大大会は世界が注目しているし、すべてのテニス選手が目標としていることからいっても1回でも優勝するのは至難。それを大坂は連覇してしまった。その事実は世界を驚かせ、底知れない才能の持ち主であることを実感させたのだ。