大坂なおみの不調がエスカレートしている。
ウィンブルドン(全英オープン)では初戦で敗れ、早々に姿を消した。これから2週間、たっぷり大坂なおみを応援できると楽しみにしていた日本ファンの落胆は大きい。
1月の全豪オープンでは4大タイトル2連覇を果たし、飛ぶ鳥を落とす勢いで世界ランキング1位にまで駆け上がった大坂なおみが、なぜこれほど不振に苦しんでいるのか? 誰もがその極端な失速ぶりに首をかしげているはずだ。
大坂なおみの急成長は
サーシャコーチあってのものだった
誰もが思い浮かべる要因の1つは、コーチとの別れだろう。
全豪オープン優勝直後、大坂なおみはサーシャ・バインコーチの解任を発表した。わずか1年で、世界の頂点にまで駆け上がった原動力がサーシャコーチの存在だったことは、大坂自身も認めていた。
潜在能力への期待は大きいが、メンタルに弱さがある――。
そのため、世界ランキングの50位にもなかなか届かなかった大坂なおみが豹変し、急成長したのは、サーシャコーチと契約し、ツアーを回るようになってからだ。しかもわずか1年で四大タイトル優勝、そして2大会連続優勝。そのサーシャコーチを自ら解任した。この影響が、これほど大きくなるとは、大坂自身も予期できなかったかもしれない。
大坂自身は、サーシャコーチとの別れが失速の原因ではないと語るかもしれないが、別れる前と後の成績が天と地ほど違うのだから、認めざるをえないだろう。
サーシャコーチと出会う前の大坂はメンタル面の弱さがあり、試合中に落ち込み、ペースを崩すと自信ややる気を回復できず、そのまま敗れてしまう傾向が指摘されていた。ところが、サーシャ氏がコーチに就任すると、選手ファーストのやさしい言葉がけによって大坂は力を得た。初めてのツアー優勝となったBNPパリバ・オープン(2018年3月)の試合中にライブで放送された『オン・コート・コーチング』の映像はとくに象徴的だった。