この流れの中、世論は台湾独立派である民進党・蔡氏に有利な風向き。直近の複数の世論調査ではいずれも、蔡氏が親中派の韓氏に対して大きな差をつけて国民の支持を集めている。

 郭氏は鴻海のビジネスの中で中国を重要拠点として活用し、現地の政治家や高官らとも昵懇にしてきた。台湾の有権者はみな、郭氏をかなりの親中派と認識している。世論が台湾独立派に有利に流れ、ただでさえ国民党が劣勢な中、郭氏はなぜことさら国民党への支持を割るような行動を取るのか。

 郭氏は12日に公開した手書きの公開書面の中で、総統選出馬の意思は明言しなかったものの、離党の理由を赤裸々につづっている。以下に要旨を紹介する。

「腐った国民党を
変えようがない」

<今このときをもって、国民党からの離党を宣言する。心情的には、国民党とともに戦えないことを悲しく思う。だが理性としては、自分が中華民国(台湾)の運命に関わる正しいことをしていると知っている。

 私は子どもの頃から国民党に忠実で、愛国的な警察官の家庭で育った。台湾が人々を感嘆させる経済成長の奇跡を成し遂げたことは、無私かつ先見の明があるリーダー(蒋経国、蒋介石の長男で元国民党主席・総統)が経済を重視し、戒厳令を解き、両岸(台湾・中国)の平和的交流を進めたからだ。もし彼が、民心から遠くかけ離れた国民党のありさまを知ったら、間違いなく悲しむことだろう。

 国民党の存在意義は、国家を治める理想と目標にこそある。民進党との競争に明け暮れたり、ましてや利権分配のプラットフォームであったりしてはならない。予備選までの数カ月間を通して、私は国民党を改革することがいかに難しいか、また国民党の魂がいかに失われているかを痛感した。私個人がどんなに努力しても、現在の国民党の腐敗した文化を変えようがないと気づいた。

 ことは終わった。別れが来た。私、郭台銘の離党によって、国民党の改革と再生が加速されることを願っている>