欧米と比べると、日本は婚外子が非常に少ない国だ。そして事実婚もまた少ない。とはいえ、個人や家族のあり方が多様化している今、今後増えていくかもしれない。現在、事実婚を選んだ夫婦に、その生の声を聞いた。(取材・文/フリーライター 武藤弘樹)
法律婚が主流の日本
あえて事実婚を選ぶ訳
事実婚という形の結婚がある。婚姻届を出して名字を同一にする法律婚が日本では一般的だが、中には事実婚を選ぶカップルもいる。
「法律婚はしていないけれども、実際のところこれは結婚しているよね」と当人たち、および周囲が認めていれば事実婚はだいたい成立していることになる。法律婚と事実婚の大きな違いは入籍しているか否かの一点のみで、同棲や内縁に比べてもより確固とした結婚然たる事実婚だが、諸外国に比べて日本は事実婚を選ぶカップルの割合が圧倒的に少なく、国内では「結婚したのならどうしてわざわざ事実婚を選んだの?」という見方が主流である。
事実婚カップルが別れたときであっても慰謝料は発生する点を見ても、おおむね事実婚と法律婚は変わらないのだが、それでもあえて事実婚を選ぶからにはそこにはそれなりの理由があるのであろう。
本稿では法律婚と事実婚の違い、諸外国の事実婚事情のざっくりとした説明に加え、事実婚をしている夫婦の生の声を紹介したい。
法律婚と事実婚の違い
事実婚も多種多様
まず法律婚と事実婚の違いは何か。事実婚のメリットとして次のようなものが挙げられる。