事実婚をしている2組のカップル
それぞれの事情
現在、事実婚をしているカップルに、なぜ事実婚を選択したのか理由を尋ねた。
Aさん(37歳男性)はハードなバンドをやっていて腕や首におそろしげなタトゥーが渦巻いているが、その印象に比して人当たりは柔らかい。肌感覚だがこの界隈の人は話すと優しげな人が多いのだが、理由を推測するに若い頃に散々とがりまくってきたからかもしれず、タトゥーが他人に与える威圧感に自覚的で、それを払拭しようと努力しているからかもしれない。あるいはタトゥーを見てこっちが勝手に身構えているだけで、実は相手も結構フツーな人で、そのギャップから優しげな印象を受けるのかもしれない。
「俺は結婚できないよ。子どもがかわいそうだから」(Aさん)
Aさんは事実婚をしていて4歳の息子がいる。妻とは元々内縁関係だったが、妻が妊娠した際に将来のことを考え事実婚にしておくことにし、もろもろ整備してAさんはそのススメに従った。その際、妻から法律婚の提案もあったがAさんはこれを強く拒否したという。Aさんの言い分を聞いて妻も納得した。
「俺1回パクられてるから。そういうのが身内にいると子どもによくないって聞くし」
Aさんには犯罪歴があった。“前科者が身内にいると警察官になれない”とよく耳にすることがあるが、そういったことを気にしたため、あえて法律上子どもの親権者から外れることをAさんは選択したのである。
なお警察官になる際には身辺調査が行われるそうだが、法律上の父親と実質上の父親がどこまで区別して判断されるかは定かでない。また余談だが“前科者が身内にいると警察官になれない”は必ずしも真実ではないそうで、そのことをAさんに伝えると、