再雇用後は時間に余裕も生まれますから、旅行などに出かけて年間30万円使うとすればさらに5年間で150万円分の貯蓄が減少。車の買い替えがあれば、その費用分も貯蓄から減額しなければなりません。Nさんのご相談にはこれらの記載がないことから、旅行、車の買い替えなどで350万円使用するとして、65歳時点の金融資産額は4160万円と仮定しましょう。

 65歳以降は、完全リタイアして公的年金と金融資産だけで過ごすと考えます。Nさんの55歳時点の収入はそれなりにあることから、公的年金は夫婦合わせて25万円、手取り額は21万円とします。生活費は今よりも2割ほどダウンサイジングして22万4000円。それに住宅ローンの返済額等を加えると、毎月の支出金額の合計は34万2100円になります。旅行などの余暇費用は年間30万円のままなら、年間の収支は252万円-440万5200円=188万5200円の赤字になります。65歳時点の金融資産額は4160万円ですから、この支出金額を維持し続けられるなら80歳時点では1332万2000円が残る計算になります。

 ただし、80歳を迎えるまでに給湯機器やお風呂、トイレなどのリフォームを行う必要が2回程度発生するはずです。1回当たりの金額を100万円とすれば、2回で200万円かかると仮定すると、金融資産額は1132万2000円になります。

 80歳以降は住宅ローンの返済がなくなることから、毎月の支出は25万4000円に減少、年間の赤字額は52万円8000円となり、80歳の貯蓄額で21年強賄うことができるため、人生100年時代になんとか対応できるはずです。つまり、Nさんのプラン通り、80歳まで住宅ローンを返済し続けても老後はほぼ安心といえるでしょう。

 試算ではNさんが考えられている運用益は一切考慮していないことから、運用益がプラスされれば、リタイア後はさらに豊かな生活になるはずです。

 問題は、Nさんがどれくらいの運用益を想定しているのかです。投資に絶対はありませんから、過度な期待は禁物です。万一、投資に失敗をしてしまうと、収入などでリカバリーするのも難しい年齢といえます。利率が発行時に確定している確定利付きの商品であれば、収益は無きに等しいことから、運用益頼みのプランを考えるのは少々冒険し過ぎでしょう。