米デルタ航空が成田国際空港から撤退し、発着枠が拡大する羽田空港に路線を集約する。同社が“成田離れ”する中、旧ノースウエスト航空時代から持っていた大型機内食工場が、訪日客をターゲットとしたスーパー銭湯に変貌を遂げていた。グランドオープン直後に台風15号による停電で営業を休止したものの、9月11日夕方から再開し、被災した地元客に無料開放して賑わっている。(ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
米デルタ“成田離れ”で工場閉鎖
跡地がスーパー銭湯&撮影スタジオに!
「機内食工場をクローズした時から、こうなることは分かっていたけどね」
米航空大手のデルタ航空が8月中旬、成田国際空港から撤退して東京国際空港(羽田空港)に首都圏発着路線を集約すると発表した。この発表を耳にした航空関係者たちは、こうなることは“既定路線”だったと受け止める。
2020年春から羽田の国際線発着枠が拡大することに伴い、デルタは成田~シアトル、デトロイト、アトランタ、ポートランド、ホノルルの米国5路線を羽田へ移管。成田~シンガポール、マニラ線は廃止する。羽田集約後、米系キャリアでは羽田で最多便数を運航することになる。
16年の日米航空交渉の結果、デルタは羽田~ロサンゼルス、ミネアポリス線を開設。その一方で成田~ニューヨーク線をはじめ就航実績の長い路線から撤退し、“成田離れ”を加速させていた。
デルタは前身の旧ノースウエスト航空時代から、成田空港に近い千葉県富里市にホテル「ラディソン成田」と、同敷地内に大型機内食工場とクルーの研修施設、保税倉庫などを保有していた。それが16年秋、所有権を他社に売却。ラディソン成田はそのまま営業を続けているが、機内食工場は閉鎖となり、長きに渡って1日1万食以上を作ってきた歴史に幕を下ろした。
今、機内食工場跡地はどうなっているのか。現地を訪れると、驚きの変貌を遂げていた。
ワンフロア3300坪の巨大建屋はそのままで、1階はスーパー銭湯、2階はドラマや映画に使われる撮影スタジオになっていたのだ。
スーパー銭湯「湯楽城」は7月中旬に営業時間を限定してプレオープンした。温泉ではないが、複数の内湯と露天風呂、食事処や休憩スペースも充実している。