冷ややかな難関大の中の例外「東北大」

 教育の単科大も上位に多い。8・9位に京都、上越、兵庫の各校が入っている。他にも、28位北海道、45位宮城、46位愛知、49位鳴門、53位大阪、60位奈良と続く。教員のリカレントも請け負うことになるのだが、教育学部の改組が進む中、これからも生き残りのため知恵を絞らないといけないだろう。

 4県の人口を合わせて静岡県と同じくらいの四国には5つの国立大がある。7位高知大、11位徳島大、12位香川大と、24位愛媛大以外の3県が名を連ねているのは、学生確保に苦労していることの表れであるかもしれない。20位台にも「駅弁大学」とやゆされたこともある戦後の新設校が見受けられる。

 全82校の中位、41位新潟大と42位琉球大が20%である。このあたりが分岐点になる。

 放っておいても受験生が集まる国立難関大は、総じて学校推薦やAO入試に冷ややかである。80位東京大と79位京都大の実態については今後の連載に譲るが、1つ注意しておきたい点がある。この表に掲載したのは「募集人員」であり、合格者ではない。例えば東京大は100人になっているが、実際の合格者数は例年70人前後となっている。つまり、本当の入学者に占める割合は2%強で、より狭き門ということになる。

 旧帝国大7校中、突出して多様な入試の導入に力を注いでいるのが25位東北大である。AO入試にはセンター試験を課すものと課さないものが併存しているが、おおむね4人に1人が一般入試以外で入ってくる。東北大には明確な意図がある。それは地元の優秀な生徒の首都圏流出を防ぐこと。まさに“白河の関”は越えさせたくないのだ。

 地元志向の強い48位名古屋大も比較的熱心だ。55位岐阜大と「東海国立大学機構」による経営統合を進めている。両校合わせた学部定員数は、日本最大の70位大阪大を超える見込みで、こうした規模の追求も、経営改革のテーマとして挙がってくるだろう。

 最下位には「0%」の東京藝術大が載っている。実際は、音楽学部には付属校があり、例年35人前後が進学しているため、すべてが一般入試によるものではない。それでも、医学部の受験生と並んで多浪生が多い美術系の美術学部は、偏差値では測りきれない一般入試での戦いとなる。