生き残りを図る国立大各校の事情
15年前に独立行政法人となった国立大は現在82校ある。大学進学者の2割ほどを受け入れてきたが、運営費交付金は年々先細りで、生き残りを図るため経営統合などさまざまな試みが行われている。
一方で、高大接続に絡む大学入試改革に合わせて、入学者選抜の仕組みにも変化が訪れている。国立大学協会は、2021年には一般入試以外の選抜による入学者の割合を30%にしよう、という目標を立てた。19年現在の平均値は17.4%なので、目標達成はほぼ不可能だが、収容定員の半分以上が推薦やAO入試で選ばれる学校が現に存在する。大学入試センター試験抜きでもいいという国立大進学は魅力的ではなかろうか。
次ページに「国立大AO・推薦入試対応度」ランキングを掲載した。現時点で目標の30%を超えている国立大は13校ある。まずは上位10校から見ていこう。
1位筑波技術大は視覚障害者と聴覚障害者であることを入学条件としている。2位鹿屋体育大はその名の通り体育学部の単科大だ。いずれも入学者は限られている。
3位豊橋技術科学大と5位長岡技術科学大は、全国にある高等専門学校(高専)の受け皿的な学校だ。
4位室蘭工業大は、臨海工業都市「鉄の町」室蘭を支えてきた。19年に工学部を理工学部に改組し、AO・推薦入試の比率を大幅に増やして生き残りを図っている。
注目は6位旭川医科大だろう。医学科は、AO入試「国際医療人」「北海道」と推薦入試「道北・道東」の特別選抜があり、3分の1は非一般入試となっている。地元志向が強く、合格者上位校は札幌や旭川の占める割合が高い。