「昨日の話をしてもしょうがないわ。だって昨日の私は今の私とは違う人間なんだから」不思議の国にやってきたアリスは自身の矛盾についてこう釈明した。過去の発言と現在の立場が食い違う政治家にうってつけの言い訳だ。かつてジョン・ボルトン氏は左派から毛嫌いされていた。主戦論者で、映画「博士の異常な愛情」のストレンジラブ博士を思わせる人物。巨大な爆弾にまたがり、爆撃機B52の風を受けてふさふさとした口ひげを逆立てながら、世界中の不運な国々めがけて飛んでいく。それがボルトン氏だった。2005年当時、ボルトン氏は平和を阻害する存在で、ジョージ・W・ブッシュ政権の国連大使として上院の承認を得られず、大統領は議会休会中の任命を強行するしかなかった。