サウジアラビアで14日、極めて重要な石油施設が攻撃を受けた。世界のエネルギー市場が短期的に動揺することはまず間違いないが、今回の攻撃は長期的にも気がかりな意味を持つ。1970年代に起きた2度の石油危機以来、エネルギー安全保障を担う政府関係者はエネルギー生産と輸送の要衝の一つが意図的に攻撃されることを恐れていた。想定されていたのはホルムズ海峡などの海上交通路(シーレーン)への攻撃だが、今回、攻撃を受けたアブカイクの施設はおそらくそれ以上に重要かつ脆弱だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、攻撃で世界の原油供給量の約5%に相当する日量570万バレルの生産が止まったと報じた。原油市場から見たアブカイクの重要性を説明しよう。2006年にアブカイクの施設で爆発物を積んだ複数の車両によるテロ未遂事件が発生した際には、原油価格が1バレル当たり2ドル以上値上がりした。サウジは港やパイプライン、石油処理施設の防護に年間数十億ドルの資金を投じている。同国は余剰生産能力を維持する唯一の主要産油国でもある。それでも、イランの支援を受けたイエメンの武装勢力組織フーシが犯行を認めた今回の攻撃の性質を考えると、施設の防護は以前よりはるかに難しくなっている可能性がある。今回の攻撃をめぐり米政府関係者はイランを非難、さらに米国とサウジはイランの支援を受けた別のグループがイラクから発射された巡航ミサイルによる今回の攻撃に一部、あるいは全面的に関与した可能性を調べている。イラン当局者は15日、関与を否定した。
サウジの石油施設攻撃、長期的なリスク露呈
技術的な高度化と大胆さへの懸念、市場に残り続けることに
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