かんぽの保険販売再開
10月は時期尚早
インフルエンザなど伝染病に罹患した疑いが濃厚な社員が、検査結果や医師による指示を待たずに、「生活が懸かっているから」と言ってオフィスに出勤してきたら、周囲には相当に迷惑だ。社会人として、倫理的に問題のある行為だと見なされるのが普通だろう。
日本郵政グループは、日本郵便によるかんぽ生命保険の保険販売を10月にも再開する意向だという。だが、この販売再開は上記の社員並みの非常識だ。グループ全体として「悪いことをした」という認識と、「悪いことをまたやってはいけない」という決意の両方が欠けているのだろう。
かんぽ生命の保険商品販売で不正が疑われる事例の数は、当初の発表からどんどん増えて、調査対象期間だけで十数万件に及ぶ。次いで、アフラック生命保険などかんぽ生命以外の保険会社の保険販売でも不正事例が報じられた。さらに、ゆうちょ銀行の投資信託販売でも高齢者に対する不適切な販売が多数見つかるなど、これらの金融商品の販売を受託している日本郵便の金融商品販売全体に大きな問題があると言わざるを得ない。