まずは一度やめてみるのが大事
必要なら元に戻せばよい

小室 住友生命では、社内から募った「業務見直し」要望1800件のうち、見直し予定のものも含めると8割ほどを実際に削減するとうかがったのですが、裏を返すと、これまではそれほど不要な業務が多かったのでしょうか。

橋本 多かったと思います。部下の方から「この仕事はムダだからやめましょう」とは言い出しにくいので、前任の所属長の指示が見直しされないまま、新任者が新しいことを指示し、仕事が累積していく構造がありました。

小室 異動が多い日本社会では、本当にそういったことがよく起きますね。それを橋本社長が、「とにかく1回やめてみよう」と提案されたわけですね。

橋本 そうです。上司である室長や部長も、そのまた上司の顔色をうかがうあまり、言い出す勇気が持てません。私が言えば、みんな安心してやめられますよね。まずは1回やめてみて、その結果、やはりその仕事が必要ということになれば元に戻してみたらいい、というのが私の持論です。

小室 「Vitality」のような独創的な新商品を発売すると、当然増える仕事もありますよね。仕事が増えたとき、従来から続けてきた仕事を精査して減らしていかないことには、新しい仕事を受け入れる容量がつくれないわけですね。そこで「今までやってきたことを減らしていいんだよ」という上からのメッセージがくると、新しいチャレンジを始めやすい組織風土になるということですね。

橋本 そうです。少し話は変わりますが、私のところに案件の説明にくる社員に、「その仕事、何でやってるの?」って聞くと、「いや、これは○○という理由があると聞いています」という答えが返ってくることがあるんです。「それって、ただの言い伝えじゃないか」と。言い伝えがきちんと明文化された規定になっているかというと、どこにも書いていない。不文律なんです。だから「言い伝えで仕事をするな」「この仕事がなぜ必要かを常に考えるように」と、ことあるごとに言い続けてきました。