今回、社内ルール違反がわかった投信販売では、ノルマはないというが、企業貸し出しが行えず収益が出ないから、投信販売に走ったわけで、ノルマがなかったとは考えられない。

 こうしてみると、今回の不適切販売の背景は、ガバナンスの問題もあるが、それ以前の企業体としての根本問題があるといえる。

 筆者が民営化の制度設計に関わったときは、10年くらいかけて、ゆうちょ銀行はまともな企業向け貸し出しが、かんぽ生命は簡易保険以外の生命保険商品を開発できるようにと、考えていた。

 特に、ゆうちょ銀行で貸出部門を作るのは難事業だったので、貸出部門をすでに持っていた政策金融機関の一部を民営化して、預金などの資金調達をするゆうちょ銀行と与信をする政策金融機関の合併も視野に入れていた。

 だが民主党政権で、郵政が「再国有化」されるとともに、政策金融機関との合併構想は完全に頓挫した。結局、民営化逆行の末、貸出部門のないゆうちょ銀行とまともな生命保険商品のないかんぽ生命という、悲惨な企業になってしまった。

日本郵政の株価低迷
成長戦略描けず

「民営化」という言葉がマスコミなどで流布されていても、その成長性に魅力がないのは、誰にもわかる。

 このことを象徴するように2社を抱える持ち株会社である日本郵政の株式は、上場後、動きがさえない。今や日経平均の伸びに大きく水をあけられている(図表1)。

 こうした状況を脱するには、筆者は「再民営化」しか手段がないと思う。

 この15年間、「郵政民営化」を見直し、「再国有化」を選択したのはえらく回り道をした。経営を抜本的に改めるには「再民営化」を行うべきだ。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)