• サウジアラビアの石油施設攻撃を受けての市場の動き• サウジアラビアの石油施設攻撃を受けての市場の動き9月14日に起きたサウジアラビアの石油施設への攻撃直後、投資家やアナリストの間ではブラックスワンという言葉が飛び交った。事前にほとんど予想できないが一度起きると衝撃が大きい事象と思われたわけだが、週の半ばになると、スワン(白鳥)というよりは公園にいる普通のアヒルのように見え始めた。攻撃は巡航ミサイルとドローンを使用したもので、サウジアラビアの現在の生産能力の約60%程度を破壊した。歴史上最大の破壊の結果、16日の月曜日のブレント原油先物は15%上昇し、原油価格への依存度の高い銘柄の株価は20%もの大幅な上昇となった。ところが週半ばになると、原油先物期近物は攻撃前の水準より数ドル高い程度に戻り、2020年9月限月の先物価格はほぼ完全に上昇前の水準に戻った。月曜日の上昇を追いかけた投資家は、翌日サウジアラビアが9月末までに生産量を回復できると発表したため痛い目に遭った。回復の日程が楽観的過ぎるとしても、世界の石油備蓄は非常に多く、大きな混乱が起きることはなさそうだ。ヒューストンを本拠とする株式調査会社、ヘイッキネン・エナジー・アドバイザーズの最高経営責任者(CEO)のデービッド・ヘイッキネン氏は、「原油価格が高止まりしなかったことこそ最大のサプライズだ」と述べている。