サウジアラビアのアブカイクにある主要な石油施設と近くの油田に対する9月14日のイランによる攻撃を受け、一時的に戦争勃発の懸念が高まった。しかしその懸念はすぐに収まった。学識経験者や評論家などがある結論に至ったからだ。ドナルド・トランプ米大統領は威圧的に振る舞っているものの実際にはタカ(強硬派)ではなくチキン(弱虫)であり、「いつでも発砲できる」という脅しにもかかわらず、最終的に同氏はペルシャ湾でのイランの蛮行を容認し、イラン政府の好む条件での新たな合意の実現に前向きでさえあるかもしれないという結論だ。だがそれは、トランプ大統領とその支持基盤を読み違えている。ジャクソニアン(アンドリュー・ジャクソン大統領の政治姿勢の信奉者)である米国民は「終わりなき戦争」に飽き飽きしていることは確かだ。大統領はそれを理解し、同じ懸念を共有している。エネルギー自給に向けた米国の着実な歩みも、一般市民の中東情勢への懸念を弱めている。しかしジャクソニアンの米国民は、忍耐強いわけではなく、平和主義者でもない。加えて、ジャクソニアンの意見を一夜にして変えてしまうような挑発行為というものも存在する。1898年に米海軍の戦艦「メーン」がスペインの機雷によって沈没させられたという認識が、たとえ誤ったものであっても広まったことを受け、ウィリアム・マッキンリー大統領は、開戦に消極的だったにもかかわらず、米西戦争に踏み切った。
【オピニオン】対イラン戦争の可能性、排除すべからず
制裁の影響が高じればイランが一線を越える可能性も
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