前回は「専業主婦家庭で育った夫ほど離婚の危機に陥りやすい」ということで、家事にスポットを当て、日本の夫婦関係の問題点を語ってみた。今回は、その解決策を探ってみたい。(エッセイスト 鳥居りんこ)
高度成長期の専業主婦はワンオペで
すべての分野をこなしていたのか?
高度成長期の社会は女性たちに「専業主婦=家庭内経営者」、つまり、家事から育児、介護、親戚・近所付き合いに至るまでの手腕を期待していたのは確かだろう。とはいえ、当時の専業主婦はワンオペですべての分野をこなしていたわけではない。
1974年にTBSで放映された「寺内貫太郎一家」を見たことがあるだろうか。東京・下町を舞台に、3代に渡って石屋を営む寺内家の日常を描いたテレビドラマだ。
その中に浅田美代子さんが演じるお手伝いさんの相馬美代子(ミヨちゃん)がいた。ミヨちゃんは決して、上流階級の家庭で働くだけの存在ではなかった。
この当時、商いを生業にしている一般家庭に、田舎から花嫁修業の名目で来る“お手伝いさん”という仕事があったのだ。たとえお手伝いさんがいない家庭であっても、祖父母または親戚、あるいは近所の女性同士で「助け合う文化」が残っていた。
ところが今の時代は、育児や家事、介護などをワンオペで行う妻には、非常に厳しい環境であると言わざるを得ない。