その(2)「直観」で行動するから、OODAループは速い

OODAループが速い2つ目の理由は、「直観」によって行動するからです。

私たちは日常において、たいていのことは即決して行動に移しています。先走りするタイプ、優柔不断な性格などの違いはあっても、それぞれのやり方で瞬時に決めて動いているはずです。

そのとき、私たちの頭の中では「直観」が働いています。そのことに気づいたり、意識したりすることはありませんが、ぱっとひらめいた(こちらは直感)ように見えても、その裏には冷静な状況分析や無意識のうちの論理的思考があり、一瞬で答えを導き出しているのです。

混同されがちですが、直観(intuition)と直感(inspiration)は異なります。直感が感覚的に何かを感じ取るのに対して、直観は推論を用いずに対象に合致するパターンを直接的に捉えます。

実際には重なり合う部分もあって明確に線引きできるものではありませんが、直観は瞬発的ではあっても冷静に知覚している点が、より感情的で感覚的な直感とは大きく異なります。

将棋のプロ棋士が何手も先を読んで最善の一手を打ったり、熟練した会計士が一見すると矛盾のない帳簿や会計処理から瞬時に不正を見抜いたりできるのも、直観のおかげだといいます。

経験を積んで知識を身につければ、直観は鍛えられます。プロスキーヤーで登山家の三浦雄一郎氏は、雪崩に巻き込まれたときに直観で動いて命拾いした実体験を振り返り、直観はトレーニングにトレーニングを重ねた先に身につけたとインタビューで語っています。

OODAループでは直観を意識的に用います。それを繰り返すうちに、普通の人でもより広い問題について直観を適用できるようになり、就職や結婚といった人生の一大事に関わることについても、瞬時に決めて、動けるようになります。