松山北支店オープン当初の混乱の中でも、矢野氏のそうした考え方は、徐々に浸透していったとみられる。混乱が収まり、改革の効果が出始めた頃、行員たちの余力が、目に見えて顧客サービスの向上へ向かい始めたという。

 先に紹介したYouTube動画も、まさにその時期にアップされたものだ。

 動画に登場する行員たちの笑顔は生き生きとしており、支店の雰囲気の良さが伝わってくる。もしかすると、この動画自体、行員からのアイデアで生まれたのではないだろうか。

 本書に登場する、矢野氏以外の11人のやり方にも、顧客と行員のどちらも大事にするという方針は共通している。

 AIやデジタルテクノロジーの進化によって、銀行だけでなく、あらゆる職種で生身の人間の業務がますます必要なくなるかもしれない。しかし、だからこそ、本書のバンカーたちのように、人を大事にして、その力を生かす方向の発想が重要なのではないだろうか。

 そうした意味で、12人のバンカーたちの思考や姿勢は、他業種、他職種のあらゆるビジネスパーソンにも、大いに参考になるはずだ。

 本書を参考にして、多様化の時代に顧客満足や部下の育成をどうしていくべきなのか、じっくり考えてみていただきたい。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、まだ日本で出版されていない、欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約8万人のビジネスパーソンが利用中。 https://www.serendip.site