いまやお昼の定番番組となった『ヒルナンデス!』(日本テレビ)は、かつてモンスター級の人気を誇った『笑っていいとも!』(フジテレビ)をなぜ終了に追い込めたのか。その勝因は、9割は捨て、あるポイントを重点的に攻める「一点突破」の戦い方だった。そこで今回は、元日本テレビ敏腕プロデューサーで『ヒルナンデス!』を立ち上げた村上和彦氏の最新刊『勝つために9割捨てる仕事術』(青春出版社)から、仕事に“面白さ”を見出し、結果を出すための方法を紹介していく。
無敵を誇った『いいとも』の唯一の弱点とは
『いいとも』が昼番組の王者として君臨できた理由、それは「20~40代女性」に不動の人気を誇っていたことにある。この「20~40代女性」のことを、テレビ業界、広告業界では、F1・F2と呼ぶ。彼女たちは無駄遣いをしない高齢者とは違い、CMで紹介された新商品に興味を持ち、時には衝動買いもする。同時間帯のライバル番組たちの視聴者層は高齢者が多いため、CM市場では『いいとも』のひとり勝ちが続いていた。その状況を変えて、新番組はこのF1・F2の取り合いで『いいとも』と真っ向勝負をする。そして、CM売上で『いいとも』に勝利する。これが私の考える戦い方だった。
まず、こういった「ライバルに勝つ」系のミッションの場合、相手を分析することは重要だ。なぜそんなに強いのか、その理由を探り出せばいいだけだ。その強い理由を排除してしまうことができれば勝てる。これが攻略の王道だ。『いいとも』攻略法は、F1・F2の奪取で一点突破を試みることだった。それを知った業界の人たちは、「またまた日テレさん、無謀な戦いを挑んで…」と思ったに違いない。『いいとも』の泣き所である高齢者層を取り込もうというのなら現実的だが、『いいとも』の独壇場であるF1・F2で真っ向勝負をしようというのだから。