国公立で最大3回の受験機会が

 定員がずば抜けて多い工(30人程度/938人)は募集人員も多いが、出願時に5つの学修領域から1つを選ぶなど、学びたいことが明確に問われる。47→24、42→23、43→16、48→22と2倍程度で推移している。

 理(10人程度/280人)には10学科ある。32→11、25→10、24→10、32→9と、合格者数は安定している。

 農(10人程度/290人)は少数精鋭型のようで、12→9、11→7、11→7、11→4と志願者は少ないものの合格率は高かったが、2019年度は厳しかった。

 薬(5人程度/80人)は最も小規模な学部でもあり、4→3、3→2、6→3、9→1と狭き門である。特に2019年度は第1次選考で4人に絞られており、厳しい結果となったようだ。

 医学部は医学科(3人程度/110人)と健康総合科学科(2人程度/40人)と学科別に募集している。健康総合科学科は2→1、2→1、1→0、1→0と唯一合格者ゼロの年がある。一方、医学科は9→2、8→2、5→2、5→4と、2019年度に合格者が倍増した。医学部は卒業後の進路が明確なだけに、人物本位の選考法として、推薦入試も重視されているのだろう。

 志願・合格状況を見る限り、比較的合格しやすい学部は農学部ということになりそうだ。

 最後に、2020年度の推薦入試の流れについて見ておこう。学部ごとに定められた推薦要件を満たす生徒を学校長が推薦する。まず11月6日までにインターネット出願登録を行い、出願書類と資料を送付する。

 書類審査による第1次選考結果は12月2日に発表される。2019年度には志願者185人に対して、合格者は127人だった。

 12月14日・15日に面接などが実施される。2020年1月18日・19日に行われる大学入試センター試験の結果を加味して、2月12日に最終合格者が発表される。2016年度から順に、77、71、69、66人という具合に、年々合格者が減少している。

 この点が、大きな課題であり、東京大がどのような手段を使って所期の目的である「学部学生の多様性を促進」していくのか、引き続き問われることになる。京都大のAO入試である「特色入試」は年々合格者が増えており、対照的な状況になっているからでもある。

 ちなみに、推薦入試に出願しても、東京大の一般入試や他の国公立大学との併願も可能だ。東京大は実施していないが、後期日程の学校も受験すれば、国公立で最大3回の受験機会を得ることができる。