「この戦略はワザとなのでは?」
社長に直接聞いてみた

 先日、竹本勝紀社長と会ってお話しする機会があり、「自虐キャラは戦略的に行っているのでは?」との質問を投げかけてみた。すると、社長は「目の前の危機を乗り越えるために、アイデアを打ち出し続けたら、今のビジネススタイルになった」とのこと。元々税理士だった方だから、したたかな計算の下にこのような戦略があったのではないかという筆者の推測は勘繰りに過ぎず、フレキシブルで多彩な発想が結果として今のスタイルにまとまっていったようだ。ただし、一切が出たとこ勝負という意味ではなく、あらかじめ練られた同社のアクションプランを元に、常に新しいアイデアを見直し検討しているということは言うまでもない。

 ぬれ煎餅や駅名ネーミングライツなど事業を多角化させている銚子電鉄だが、竹本社長は「全ての事業は鉄道事業を維持するため」と、鉄道への熱い想いを語る。自身も鉄道の運転免許を持つ社長から、鉄道への熱い想いと誠実な人柄がうかがえた。今や食品製造販売事業の売り上げが約7割を占め、鉄道事業を上回っている同社ではあるが、その根本には、銚子の街を走る鉄道網、つまり地域インフラを何としても維持したいという意思がある。

 その思いは、沿線住民も共有しているのだろう。どんなにビハインドな状況下でも、それをプラスの方向に転換してこられたのは、銚子電鉄自身の努力はもちろん、沿線住民による支援も大きかったのだ。

 大ヒット映画「カメラを止めるな!」のパロディーで、同社製作の「電車を止めるな!」が今冬に公開予定とのこと。「日本一のエンタメ鉄道」をうたっている銚電とはいえ、このニュースには大変驚かされた。菓子や弁当に続いて、とうとう映画までつくるとは…。

 ただ、これは老朽化した変電所の修繕にかかる費用を確保しようと企画されたものだ。奇抜な新事業だが、その根幹には常に鉄道が「走り続けるため」というミッションがある。

 先日、千葉県内で猛威を振るった台風15号の影響で、主力のぬれ煎餅の生産工場も一部被害が出たとのこと。「本当にまずい状況になった」と竹本社長は語るが、親会社の破産、大震災の風評被害や脱線事故と、これまで何度も危機的な状況を克服してきた同社であるからこそ、なんとか今回も乗り越えてほしいと切に願う。と同時に、いつも楽しませてもらっている恩返しとて、何かの形で支援をしたいものだ。