そしてついに3年ほど前、上司との人間関係から「うつ病」と診断された。その後傷病手当が出たもの、ほぼ引きこもり状態になった。その頃、子どもたちは自分のことを「怖い」と言っていた。年だけを重ねて来てしまって、どこも雇ってくれないのが現実だ。

「言いたいことは、年齢だけで切る会社が多いこと。それに生活がある40代、50代に対して、20万円という給料は残酷に思う。自立した生活、教育格差が目に見える。老後の不安もあります」

 そう佐藤さんは訴える。

 最近、小学生、中学生となった子どもを実家に預け、単身赴任を決意。地元の都市部のほうで、ようやく転職先が決まった。ただ、給料はよくないため、東京より家賃は低くても、子どもの養育費を賄えないという。

生活相談をしても
生活保護を勧められるだけ

 この10月から消費税が上がって、ますます生活も苦しくなるだろう。子どもはすでに大きくなっているので、報道されているような恩恵も受けられない。佐藤さんは「低所得者向けのプレミアム商品券では、焼け石に水」と明かす。

「政府が最近、就職氷河期世代の非正規社員を正規にする支援策のニュースを見ました。企業のコストを抑えるために非正規を推奨してきた今までとは逆行する正規への流れですが、そんなにコロコロと経済って変わるものなのでしょうか」

 実際、両親との折り合いが悪く、親に頼りたくない佐藤さんは、地元の県や市が設けた生活相談の窓口に、それぞれ「不動産屋で保証人がいないと家を借りられなくて困っています」などと相談した。ところが、いずれも「生活保護を受ければ、保証人を付けられます」などと生活保護を勧められただけ。それ以外の選択肢は相談員から示されず、何も解決しなかったという。

 形だけの体制はできても、生活できるかどうかを想像できない世の中に、目を背けたくなる。なかなか拾われない人たちは、引きこもるしかない。

「自分って、社会で必要じゃないんだなと思う」
 
 佐藤さんは、そんな「リスタート」ができない世の中を実感しているという。