1950年代に、日本で発明された「ビニール傘」。今やコンビニや100円ショップをはじめどこででも売られており、国内外の皇族・王室が公の場でさすこともある。日本が世界に誇るビニール傘の最先端技術、海外での普及事情について、江戸時代から続く老舗傘メーカー・ホワイトローズの須藤宰氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)
日本で誕生したビニール傘
イギリス王室も御用達!
日本洋傘振興協議会によれば、日本では年間1.3億本の傘が消費され、そのうち8000万本がビニール傘だ。その消費量は世界一といわれている。
1950年代、ビニール傘はホワイトローズによって世界で初めて開発され、それから65年の月日が流れた今も、多くの人に利用されている。
その人気は海外にも広がり、近年はイギリスのエリザベス女王やキャサリン妃も高級傘ブランド「フルトン」のビニール傘を愛用していることが話題になった。しかし、その傘もまた日本製品がルーツとなっているようだ。
「エリザベス女王が使用されていたビニール傘は、1964年の東京オリンピック直後、弊社がアメリカ輸出用に作っていた製品の、いわばコピー版です。フルトン社が、中国の工場に依頼して作ったのでしょう。かつて日本で作っていたビニール傘のほとんどは、今や中国で作られてますからね」(須藤氏、以下同)
1980年代以前には、日本国内で50社ほどのメーカーがビニール傘を生産していたが、海外の安価な人件費には太刀打ちできず続々と撤退。今も日本国内で生産を続けている日本企業は、ホワイトローズの1社だけとなった。