自治会って何で必要なの――? 近年、報じられる自治会関連のニュースといえば、「自治会費を払う義務がないのに、家賃から強制徴収されている」「自治会に入らないと集積所にゴミ出しを許可されない」などネガティブな内容が多い。しかし、本当に自治会は必要ないのだろうか。合同会社フォーティR&C代表で地域活性化・まちづくりコンサルタントの水津陽子氏に聞いた。(清談社 角南 丈)
東京では解散が続出
加入率は5割以下
「何で毎月お金を払わないといけないの? 私のメリットは?」
「役員にされると面倒くさいし、やりたい人だけでやれば?」
「仕事が忙しいから、暇な人だけでやってくれ」
普段生活していて、自治会の必要性を感じることはそうそうない。中には自治会に入らないことで近所付き合いに支障が出るため、仕方なく月会費を払って参加しているという人もいるだろうが、それも主に田舎での話。人間関係が希薄な大都市では、なおさら必要性を感じないという意見も多いだろう。
そもそも自治会は、地域住民が共同利益の実現や親睦のために活動する「任意団体」。つまり、自治会に入らなくても法律的に何の問題もないし、自治会の総会で可決されれば、いつでも解散できる組織だ。
「自治会に対して批判が多いのも確かに分かります。たとえば長時間の仕事から家に帰ってきて、(自治会員に回ってくる)回覧板を見て翌朝隣に回すのなんて面倒くさいし、今や動画や記事などさまざまなコンテンツが無料で見られる時代に、価値を感じない物に対して月会費を払う意味が分からないという方もおられるでしょう。その上、(自治会によっては)無償で役員なんて押し付けられたらたまらない、といった不満もあるようです」(水津氏、以下同)
こうした事情もあってか、自治会が解散する動きも出てきている。
「自治会を解散したところは、東京23区内にもあります。また、解散しないまでも回覧板すら回すのをやめるなど、負担を減らす取り組みも出てきています」
活動実態と会費の費用対効果が見合わず、未入会・脱会する人も増えている。東京23区では、自治会の加入率は5割を切るところも少なくない。