関西電力幹部の行為は反社会的だし、日産自動車の経営者は株主に多大な損をもたらしたが、日本郵政グループの一連の罪は、多くの顧客に実害を与えている点で、両社とは質の異なる悪さだ。

 また、NHKの番組「クローズアップ現代プラス」に郵便局の金融商品販売の問題について放映させないように圧力を掛けていたことが最近報じられたが、これも悪質だ。

 この放映中止には、個人的に少々思い当たるところがある。筆者は昨年の夏、郵便局を含む金融機関の商品販売の問題について取材に協力し、番組に出演する予定になっていた。ところが、この出演予定が直前にキャンセルされたことがあった。今にして「なるほど、そうだったのか」と思う次第だ。

 日本郵政グループは、報道に対して外部に圧力を掛けるのではなく自社に問題意識を向けていれば、被害はもっと小さかったのだと惜しまれる。同時に、本来、調査報道には価値があることが分かる。なお、番組の制作陣はこの件に萎縮することなく、少し後に金融商品販売の問題を取り上げたことを付言しておく。

 個人的な迷惑の恨みから言うわけではないが、郵便局の保険や投資信託の不適切販売は、グループ全体の経営の仕組みに大きな原因がある問題で(単に「ノルマ」の有無のような小さな問題ではない)、万人単位の顧客に実害が出ている。従って、質の異なる「悪」に優劣を付けることは難しいとしても、あえて順位を付けるなら、筆者は彼らが一番悪いと思う。

 もっとも、元々金融業界出身でリスク感覚に長けているはずの彼らは、引責辞任が不可欠であることを知っているだろう。おそらく最終防衛ラインを、「かんぽ生命の株式売却前には、この問題の重大性を認識していなかった」という一点に置いているのだろう。問題を知っていて売り出しを強行したことが立証されると、刑事罰の対象になり得るからだ。

 仮に、一連の問題について、彼らが「問題の究明と、販売体制の立て直しこそが自分たちの責任だ」と考えているのだとしたら、全くのお門違いだ。問題の究明と新しい道筋の構築は、元々の問題に責任のない人物が手掛けることが適切なのは言うまでもない。