金融庁は不動産バブルによる銀行の破綻を避けるためにできた、といっても過言ではないだろう。彼らは、不動産融資が貸し倒れとなり多額の損失を出した銀行に公的資金を投入したり、合併・破綻処理をしたりしてきただけに、今回の金融緩和にも目を光らせていた。

 そんな折に、スルガ銀行などの不正融資事件が発覚した。そこで、不動産融資への厳しい姿勢を銀行に示し、収益不動産に対する融資を厳格化するように迫った。その結果、資金は絞られ、新規融資は昨年比で2割もの縮小傾向を示している。結果として、新規着工も同様に減少し、需給バランスが急速に逼迫し始めている。

 融資を受けずに賃貸住宅を建てる人はほとんどいない。融資を止めてしまえば、連動して新規供給は減っていく。アベノミクスの景気浮揚効果で需要が拡大しているさ中に供給を絞ると、物件の稼働率が上がることになる。現状、東京都の家賃は「値上げ」が当たり前になってきている。この需給逼迫により、消費者物価指数の一部を成す家賃が上昇を始めているのだ。

日銀の政策支援を
金融庁がやっている現状

 これまた日銀には朗報になる。なぜなら、消費者物価指数が2%になるまで金融緩和の継続を明言しているなか、物価の押し下げ要因ともいわれていた家賃が都市圏で上昇し始めたからだ。賃貸が都市圏に集中することから、全国の家賃も現状は横ばいになっている。

 通常、市場の家賃は値下がりしていくものだ。なぜなら、現状で新規着工戸数が一定割合増え続けても、ストック全体の築年数は毎年0.6年程度古くなっているため、それを家賃が反映して下がるからだ。新規供給の減少で需給が逼迫し、家賃が上がるとなれば、日銀には願ったり叶ったりの状況になる。