東京を襲う家賃の値上げラッシュ、賃貸居住者が家計を守る心得東京都区部の賃貸住宅の空室率は約3%程度だ。これは全国的に見るとかなり低い数字であり、住人が退去すると次の家賃は値上げされる傾向が強まっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

東京都区部の空室率に見る
「家賃値上がり」が止まらぬ現実

 東京都区部の賃貸住宅の空室率は約3%程度だ。これは全国的に見るとかなり低い数字であり、世間でいう「空き家問題」とは真逆の状態にある。

 この空室率だと、住人が退去すると次の家賃は値上げされることになる。学生から社会人まで、東京に住む多くの人が賃貸住宅に住んでおり、また定期的に賃貸間の引っ越しをしているだろう。そんな人たちにとって、家賃の上昇トレンドは家計を直撃する負担となる。どうしたらいいのだろうか。値上がりする家賃の実態と対策を見てみよう。

 通常、賃貸の平均入居期間は4年である。2年契約が多いので、1回更新手続きをして、2回目の更新で退去するのが一番よくあるパターンだ。ここでは、4年経っての前回の募集賃料と今回の変動率を「賃料変動率」と呼ぶことにする。

 スタイルアクトが保有する賃貸のビッグデータからこの賃料変動率データを作成した結果、230万件に及ぶ大量のサンプルを用意することができた。この結果から、4年での変動率は都区部平均で+1%になった。

 築年が4年経過して値上げするということは、かなり市場がよくなっていることを示唆している。なぜなら、築1年で賃料は総じて1%下がるからだ。そう考えれば、4年経過すると本来-4%になるのが当然のはずだ。それが+1%ということは、実質的に5%も相場が上がっているに等しい。

 この状態ならば、入居者が入れ替わる際は、市況に合わせてオーナー側は心おきなく値上げできる。現状では、むしろ退去してもらった方が、オーナーにとっては値上げできるので有利である。最近は家賃の値上げだけではなく、礼金も取れる月数は増えているし、フリーレント(家賃無料期間)はなくなりつつあり、入居者負担は増える一方だ。

 また、入居中の契約更新時も値上げ交渉の打診が来る。リートの投資家説明資料には、契約更新時に平均するとわずかだが値上げしている実態が数値で表現されている。