続いて、 親たちは、「今悩んでいること」「心配していること」などのネガティブな要素について、ペアワークで出てきた話の紹介から始めていく。次に、「自分がこれまでできたこと」「できそうなこと」「期待したいこと」などのポジティブな要素を模造紙に書き出していった。

 当事者グループでも、「自分の悩み」「親や誰かにやってほしいこと」などをホワイトボードに書き出していく。

 ここで休憩をはさんだ後、ファシリテーターがそれぞれの対話をまとめ、参加者全員にシェアしていった。

 次に、それぞれの話を聞いてみて、どう感じたかを話し合う。

 親には、当事者の話を聞いてみて、どう感じ取ったかをワールドカフェ。当事者グループにも、親の話について、どう感じたかを聞いてみた。

「親たちは将来の不安があるというけど、僕たちのことを信じていない」

「世間のいうレールに戻ってほしいというけど、そのレールは親の年代の価値観」

「刻々と変化している就職戦線の大変さを知らない」

 筆者のいた当事者グループでは、相手との溝を指摘する声が続出する。やはり、これは激論になってしまうのではないかと危惧した。

 こうして、本日のメインプログラムである、親と子との対話に入るのだが、本人グループに「親と話してみたいかどうか」をまず確認する。そして、2つのグループに20人ずつくらいの親子が混ざり合い、1時間余りにわたって対話がスタートした。

 ところが、ふたを開けてみると、親と子がお互いの立場をいたわり合うような話し合いが続いた。対決ムードはなくなり、親は身を乗り出すように話を聞いていた。子どもは、一生懸命、思いを訴えた。そこに溝は感じられなかった。筆者の杞憂だった。

実の親子ではうまくいかない?
「第三者」の存在で埋まる“親子の溝”

 最後に、ファシリテーターから、それぞれの対話の内容が紹介された。

 神垣さんは、こう語る。

「実の親子ではうまくいかない。こういう場で、第三者が入って対話することが大事。例えば、本人の了解が取れれば、ここにいる当事者たちがご家庭に訪問して話をするきっかけにもなるかもしれないね。こういう場を広げていくことで、各地でできるかもしれない。自分が親として至らないという話に、当事者が、ここに来られるのだから一歩踏み出して自分が変わっている、と言ってあげているのを聞いて、涙が出てきました」

 どちらが引きこもり当事者だかわからない話だが、神垣さんは「親も当事者も、双方が癒されているように感じた」という。