昔の写真の多くは、安く入手できたモノクロフィルムで撮り、それを自分で現像して桐箱に保存していた。1本のフィルムで36枚しか撮れなかった時代だから、シャッターを切るときにはちょっとした決断が必要だった。決断が足りず、撮りそこねて後悔している風景も数多くある。そうして撮りためたフィルムは1000本以上にものぼり、本業の合間に何年もかけてフィルムスキャナーでデジタル化に励んだ。まだまだデジタル化していないフィルムも残っており、はたして生きているうちにすべてデジタル化できるのか、いま一つ心配な今日このごろである。

京都府──千年の都も数十年で大きく変化した

 京都市内というと、古い町並みが多く残っていると思われているが、実は意外と変化が大きい。意識して保存している地区以外は、ここ数十年でかなり変わったという印象だ。

 当たり前だが、定点写真を撮るには、昔の写真の撮影地点がわからなくてはいけない。だが、ぶらぶら歩きながら気ままに撮った写真ばかりだから、正確な撮影地点など覚えていない。そんな状態で、いきなり現地に行っても時間がかかるだけである。

 ではどうしたのかというと、強い味方となったのがGoogleストリートビューである。1本のフィルムのなかで、有名な建造物や駅などが写ったコマがあれば、それを頼りに前後の足どりを思い出しながら撮影場所を見つけていった。

 さて、1枚目の旧写真については、鴨川沿いに並ぶ納涼床の風景とすぐにわかるのだが、どの橋の上から撮ったのか記憶になかった。Googleストリートビューでおもだった橋をチェックしてみたのだが、似たような風景が見つからない。ようやく見つけたのが、四条大橋と五条大橋の中間にある松原橋だった。建物のほとんどが変わっていたので最初は不安だったが、共通する建物をいくつか発見したことで場所が特定できた。昭和の時代の鴨川の納涼床は、現在よりも数が少なかったのがわかる。背後の建物も今ほど高くなかった。

六本木、京都、福岡…昭和から令和への「定点写真」に見る都市の移ろい京都・松原橋付近 撮影:1984(昭和59)年8月
六本木、京都、福岡…昭和から令和への「定点写真」に見る都市の移ろい京都・松原橋付近 撮影:2019(令和元)年7月