個人の人生プランニングにも使える
パラノイア楽観主義

 シラスマ氏の「パラノイア楽観主義」や、それに基づくシナリオプランニングは、この変化の激しい時代にきわめて有効と考えられる。経営者はもちろん、一個人としても、不確実な未来に向かう勇気がもらえるからだ。

 まずは、大きな問題が直近で起きていなくても、自ら(あるいは自社)の置かれた状況をパラノイア的に分析してみよう。

 企業でいえば、例えば自社の主力事業が現在のシェアを失うケースを想定してみる。「有力なパートナー企業が競合他社に寝返ることはないだろうか」「収益に貢献している優秀な社員たちが突然ごそっと辞めてしまうことはないだろうか」など、あえて“極度の心配性”になって、いろいろと考えを巡らせるのだ。

 個人の場合も、勤めている会社が急に倒産したり、リストラされたり、重い病気にかかったりと、いくらでも不幸なケースは思いつく。

 ただ、それだけでは、気分が落ち込むだけだろう。大事なのは、その対策として自分ができうることをシナリオプランニングによって洗い出すことだ。そうすれば、少なくともある程度までは「安心」でき、楽観的に仕事を進めるとともに、前向きに人生を歩んでいけるのではないだろうか。備えあれば憂いなし、である。

 本書で、ノキア大改革の手に汗握るドキュメンタリーを楽しみつつ、激動の時代をたくましく生き抜くヒントを得てほしい。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、まだ日本で出版されていない、欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約8万人のビジネスパーソンが利用中。 https://www.serendip.site