「これは退職拒否の陰謀だ!」
エンジニアが下した決断とは

 その後、Bは毎日Cチーム長に「退職したい」と訴えるが「忙しい」「チームにはお前が必要だ。考え直せ」と返答され、取り合ってもらえない。ついには退職届を提出したが、目の前で破られた。

 らちが明かないので担当部長に話をしたところ、「Cチーム長を通してくれ」と追い返された。社長への直訴を試みるもほとんど不在。退職の予定がつかず、イライラしたBは、Aにグチをこぼした。

「上司たちが話を聞かないってアリか?これは退職拒否の陰謀に違いない!」

 Bの嘆きを聞くうちにAはある決心をした。

「B先輩がいない会社なんて嫌だから自分も一緒に退職しよう。でも簡単に辞めるのは無理そうだし、どうしよう……」

 10月上旬の休日。自宅でゴロゴロしていたAに、大学時代の友人・Dから弾んだ声で電話があった。それは会社を辞めたいと言い出してから6ヵ月間、上司との攻防の末やっと退職できたという報告だった。

「よかったね。結局上司が折れて退職を認めてくれたの?」

 するとDから帰ってきたのは、意外な答えだった。

「いや、上司は引き止めるだけで話をしてもムダだから、退職代行会社に依頼したんだよ。」

「退職代行会社?何それ」

「代行会社が自分の代わりに『退職したい』意思を会社に伝えてくれるんだ」

「えっ?それで会社が退職を認めてくれるの?心配だなあ……」