食品・飲料メーカーは生ごみを丹念にチェックし、新たな収益の可能性を探している。
米菓子大手モンデリーズ・インターナショナルやコーヒーチェーン大手のスターバックス、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)などは、長らく廃棄処分にしてきたヤシ殻などの残りかすや、ビール醸造過程で出た使用済み穀物などを活用し、新たな食品や飲料の開発を試みている。そうした製品が、食材の無駄を減らし、環境への負荷を抑えるよう求める消費者に支持されると期待しているのだ。
「食品廃棄物について創造的に考えると、サプライチェーンに新ビジネス開発の余地が生まれる」。スターバックスの広報担当者はこう話す。同社はコーヒー豆の果皮を再処理し、「カスカラ」と呼ばれる天然の甘味成分を取り出している。
市場の機は熟しているようだ。市場調査会社ニールセンによると、米国の消費者の約半数は環境への影響を減らすために買い物の習慣を変えたいと考えている。また、持続可能や有機栽培(飼育)などをうたった消費者製品の売上高は昨年約1300億ドル(約14兆円)に達し、2015年から12%伸びたという。
しかも原材料は腐るほどあるのだ。食品ごみの削減を目指す非営利団体(NPO)「ReFED」によると、米国の農家や食品メーカーから出るごみは年間約1100万トンに達するという。
ここに可能性を見出すのは大企業だけではない。ReFEDによると、過去5年間に40を超える企業や組織が食品ごみを新製品に変える取り組みを始めた。それは食品にとどまらず、例えば、織物なども生み出している。