昨年から定額課金サービスのビジネスモデルを指す「サブスクリプション」という言葉が、日本でも広く知られるようになった。そのサブスクを導入したい多くの企業に対して、業種を問わず支援してきたのが、サブスクの管理プラットフォームを提供する世界最大手企業、米ズオラだ。そんなズオラの創業者でCEOを務めるティエン・ツォ氏に、日本の産業界におけるサブスクの浸透度や課題について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 片田江康男)
当たり前になってきた「サブスク」
今後10年は成長・拡大が続く
――10月16日、サブスクリプション事業を行う世界数百社の成長率を算出した「サブスクリプション・エコノミー・インデックス」(SEI)を発表しました。4月の発表時からさらに成長を遂げており、成長率は「7年半で350%」を達成しています。この現状をどう捉えていますか。
まず言えるのは、この成長はそれぞれの企業の顧客が進めた結果であるということです。顧客が求めて、それが原動力となって進められた革命です。
私はセールスフォース・ドットコムに約10年間いました。その時に感じたのは、「SaaS」(ソフトウェア・アズ・ア・サービス、インターネット経由で必要なソフトウェアを利用するサービス形態)は顧客に受け入れられてサービスが広がると、その流れは決して逆戻りはしないということでした。多くの顧客が、新たに生まれるサービスがサブスクで提供されることを期待するようになっていきました。
日本に来ても、皆さんに聞くんです。どんなサービスをサブスクで受けていますか? ネットフリックスは? スポティファイは? アマゾンは? って。実際、あなたはどうですか?
――はい。その三つとも有料会員になっています。
そうでしょう(笑)。人々は当たり前のようにネットフリックスを使っているし、アマゾンもプライム会員になってさまざまなサービスを使っています。だんだんと浸透しているのです。サブスクがあらゆるサービスに求められてきていると思います。
――ですが、このSEIの成長はどこかで止まるのではないでしょうか。実際、先日発表されたネットフリックスの会員数の伸び率は鈍化しています。
どこか特定の1社を見てしまえば、成長は鈍化するかもしれませんね。ネットフリックスはそれだけ世界中に広がりましたから。でもサブスクの市場全体を見ると、この革命はまだまだ始まったばかりで、今後10年は成長を続けるでしょう。
――ズオラも業容を拡大していく。
今は北米と欧州、日本での展開をしていますが、他のアジア地域、例えば香港やシンガポールにも顧客がいます。ただ、まだセールスパートナーはいません。今後、東南アジアや南米にも事業を展開したいと思っています。