退任するドラギECB総裁が行ってきた大胆な金融緩和は、欧州にとってどんな有効性と限界を示したのだろうか Photo:REUTERS/AFLO

大胆な金融緩和に努めた
ドラギECB総裁が退任へ

 欧州中央銀行は10月24日に定例の金融政策理事会を開催し、前回9月12日の理事会での決定通り、11月から月額200億ユーロのペースで資産買取プログラム(APP)を再開することを確認したほか、政策金利を既往の水準(貸出金利は0.25%、主要金利は0.00%、預金金利は▲0.50%)に据え置くことを発表した。

 10月末に任期を迎えるドラギ総裁にとって、今回は最後の理事会であった。11月から後任を務める国際通貨基金(IMF)のラガルド元専務理事も、10月の理事会には出席した模様だ。ドラギ総裁の就任は今から8年前の2011年11月、当時の欧州は債務危機に喘いでおり、ドラギECBは非常に困難な局面での船出を余儀なくされた。

 ドラギ総裁の任期を改めて振り返ると、最大の功績は大胆な金融緩和に努めて欧州債務危機の収束を促したことに他ならない。12年7月、ドラギ総裁は講演で「ECBはユーロを守るためにあらゆる手段を準備している」と発言し、金融緩和の大幅な強化を示唆した。この発言以降、実際に債務危機は収束に向かうことになる。

 その前からドラギ総裁はLTROと呼ばれる長期の資金供給オペレーションを2回(11年12月と12年2月)行い、債務危機に陥った諸国の銀行の資金繰りを支えた。14年6月には主要中銀で初となるマイナス金利政策を実行し、15年3月にはドイツなど健全財政志向が強い国の反対を押し切って、量的緩和に相当するAPPを導入した。

欧州景気の復調も支えた
ドラギECBによる金融緩和

 その後もドラギ総裁は、LTROやマイナス金利、APPのそれぞれを局面に応じて拡大することで、金融緩和の強化に努めてきた。債務危機以降、財政健全化に努める欧州諸国は緊縮に努めざるを得なかった。各国政府による財政拡張が望めない一方で、ドラギECBによる金融緩和が欧州景気の復調を支えた側面は大きいと言えよう。