EUは女性活躍のフロントランナー
欧州委員長とECB総裁に女性が初就任
7月21日に投開票が行われた日本の参議院選挙では、昨年5月に候補者男女均等法が成立したこともあって、各党とも過去最多の女性候補を擁立した。ただそれは野党を中心とした流れであり、与党は乗り遅れているようだ。世界的に見て依然として女性活躍が進んでいないと評価される日本であるが、一方でそのフロントランナーにいるのが欧州だ。
その欧州では先日、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のトップに、初めて女性が就任することになった。11月に就任するウルズラ・フォン・デア・ライエン独国防相がその人である。フォン・デア・ライエン独国防相は、7月2日に開催されたEU臨時サミットで新欧州委員長の候補に選ばれた。
欧州委員長の候補者は本来、欧州議会の最多会派から選ばれるはずであったが、今回はこの筆頭候補者制度というプロセスは回避され、代わりに各国首脳の協議で候補者が選ばれることになった。もっとも関係各位との調整は難航し、16日の欧州議会で賛成多数を得たとはいえ、僅差での選任となった。
フォン・デア・ライエン新委員長は、ドイツの中道右派政党であるキリスト教民主同盟(CDU)に所属している。CDUは典型的な保守本流であるが、フォン・デア・ライエン新委員長自身は保育園の増設を巡ってCDUの支持層であるカトリック保守派と対立した経験を持つなど、時代の流れに対して敏感な現実主義者としての側面を持っている。
もう1つの注目人事であったECBの新総裁にも、女性が就任することになった。フランス出身のクリスティーヌ・ラガルドIMF(国際通貨基金)専務理事である。11月からドラギ現総裁の後任としてユーロ圏の金融政策を担うことになるが、彼女自身はこれまでのキャリアで中銀スタッフとしての経験が皆無である。